-----コンピュータでコミュニケーション----

2回目

このレポートは「かながわともしび財団」季刊誌「ともしび」の97年 1年4回にわたって連載したものです。

リード記事

 第1回目の「コンピュータでコミュニケーション」では、たとえるとコンピュータは「頭脳の自転車」で、乗りこなすには少し練習が必要だが、手ほどきを受けるといままでできなかったことができるようになることをお話ししました。文書作成、表計算、図形、音楽、ビデオの編集など色々な分野の作品がつくれ、インターネットやパソコン通信は、それを発表したり、誰かの作品を見たり、コミュニケーションをとるのに有効なことにふれました。

 

コンピュータは日常生活にそして福祉分野にも

 コンピュータは科学計算や事務計算に使われることが多く使える人は専門家でした。しかし、最近では日常生活でもたくさんの小さなコンピュータが使われるようになりました。電気炊飯器、テレビ、リモコンの制御など、コンピュータの役割は「たいへんなことを簡単に」「自動的に」「使いやすく」などになっています。さらに、パソコンは使う人に「わかりやすい」ことを目標に改良が加えられており、かつての専門家や趣味の人たちだけしかわからない機械ではなくなり、ワープロ、描画、データーベース、表計算とあわせ、電話に続いて「コミュニケーション」ツールとしての重要性が認識されるようになりました。それが、インターネットやパソコン通信です。

 社会福祉の分野でも、四肢の不自由な人のなかで、まばたきなど自分の意志で動かせる部位を用いてパソコンを操りコミュニケーションをとる人がいますし、大会などで聴覚障害者向けに手話と同時に要約筆記を行う場合にも、パソコンを利用して大型画面に映し出す活動が始まっています。このパソコン要約筆記は大会の記録にもなり、聴覚障害者以外の人にとっても便利なシステムです。(図パソコン要約筆記)

 

頭脳の自転車に乗って

 パソコンの電源を入れると、やがて画面いっぱいにデスクトップが現れます。さまざまな絵はアイコンと呼ばれ、画面上の矢印(ポインタ)をマウスで動かすことによってさまざまな指示を出すことができます。パソコンをコミュニケーションの道具として活用するなら、通信ソフトか、ブラウザと呼ばれるソフトを使用します。ソフトのアイコンをマウスでクリックするとソフトが起動し、設定次第では、自動的に電話をかけインタネットやパソコン通信に接続します。

 インターネットのホームページは、まるで商店街でウインドウショッピングをしているようです。なかには画像や、動画、音声も入れて華やかな企業があるかと思えば、質素でありながらとりたての野菜を売る朝市のおばあさんのようなホームページもあります。気に入ったものがあったら注文するなど、オーナーとメールのやり取りをすることもできます。これをネットサーフィンといいます。(図ピアネットホームページ)

 パソコン通信はさしづめ町の中にあるコミュニティセンターのようです。掲示板など町の必要な情報がつかめます。テーマ別の会議室があって、テーマに関心のある人たちが集まってさまざまな語り合いが行われ、サークル活動や趣味の活動を行っているようすに似ています。

 そしてどちらにもメールの機能があり、瞬時に世界中のどこへでも送受信することができます。メールは、インターネットもパソコン通信も関係なく、相互に乗り入れて届けあうことができるようになっています。大手業者のパソコン通信はインターネットに接続していますが、市民がボランティアで開いている草の根ネットはつながっていないことが多く、それが大きな魅力になっていることもあります。不特定多数の人が入ってこない安心感から、お互いに顔見知りの関係で地元のことを地元の言葉でしゃべることができる「なじみのお店」のような雰囲気です。(図ピアネット)

 

始めようパソコン通信、インターネット

 パソコン通信、インターネットを始めるに当たって、どんなコンピュータと周辺機器をそろえたらよいでしょう。

 最近、ワープロにインターネット接続機能がついた機種が売りだされています。たしかに、ほかのコンピュータなどから見ると割安に見えますが、お推めできません。インターネットの技術は半年・1年の単位ではなく、もっと短いサイクルで進歩します。もしあたらしい技術が付加されていない場合、そのワープロでは最先端の技術を使ったホームページを楽しむことができなくなります。コンピュータは最初の投資が若干高いかもしれませんが、常に新技術を取り込んで、ホームページを見るブラウザを更新していくことができますので、こちらをお薦めします。

 パソコンを動かす方法は現在大きく2種類に別れています。WindowsとMacOSです。どちらも長所短所があり、じっくり見ていただいて気に入ったほうを選ぶのがいいでしょう。また、わからないときに聞ける人が周りにいるかどうかが大きな鍵になります。その人と同一の機種を選ぶのが無難かもしれません。

 パソコンのほかにそろえておきたいものは、ソフト、モデム、電話回線です。最新機種では、パソコン、ソフト、モデムがセットになっているものもあり、これを選ぶのも懸命です。そうでない場合は煩雑な作業が必要です。セットで売られているパソコンには、インターネット接続サービスをするプロダイバーを選び、IDやパスワードの登録などの手続きを自動的に行ってくれるソフトが含まれていますので、パソコンショップで販売員に質問するのもよいでしょう。(図プロダイバー)

 

次回は、実際にインターネットに接続してみましょう。ともしび財団のホームページにアクセスします。